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Sechack365での学びと成果発表

8 min readSatoru Akita
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Sechack365での学びと成果発表

2017年度のSecHack365に参加し、1年間にわたってサイバーセキュリティの研究開発に取り組んだ体験について振り返ります。

SecHack365とは

SecHack365は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が主催する若手セキュリティイノベーター育成プログラムです。25歳以下の学生・社会人を対象に、実践的なセキュリティ技術の習得を目指します。

プログラムの特徴

5つのコース

  1. 思索駆動コース: セキュリティの本質を探求
  2. 開発駆動コース: セキュリティツールの開発
  3. 解析駆動コース: マルウェア解析
  4. 攻略駆動コース: CTF・ペネトレーションテスト
  5. 表現駆動コース: セキュリティの可視化・啓発

私は開発駆動コースに参加し、セキュリティツールの開発に重点を置いて活動しました。

開発したプロジェクト

SNSコミュニケーション改善システム

チーム「We pray for harmonic SNS communication」として、以下のツールを開発:

1. 感情分析システム

# TwitterのAPIを使用した感情分析
import tweepy
from fasttext import load_model

def analyze_tweet_emotion(tweet_text):
    # 前処理
    cleaned_text = preprocess_text(tweet_text)
    
    # fastTextモデルで感情判定
    emotion_score = emotion_model.predict(cleaned_text)
    
    return emotion_score

2. セリフ付き画像生成ツール

  • ユーザーの投稿画像にセリフを自動追加
  • コミュニケーションの円滑化を目指す
  • 低コストでのコンテンツ作成を実現

技術的な学び

セキュリティ技術

  • 脆弱性解析: Webアプリケーションの脆弱性発見手法
  • 暗号技術: 現代暗号の実装と応用
  • ネットワークセキュリティ: パケット解析とIDS/IPS
  • マルウェア解析: 静的・動的解析手法

開発技術

  • 機械学習: 自然言語処理による感情分析
  • Web開発: フロントエンド・バックエンド開発
  • クラウド技術: AWS/Azureでのインフラ構築
  • チーム開発: Gitを使用した協調開発

成果発表

最終発表会

2018年3月の最終発表会では、1年間の成果を発表しました:

  • 発表時間: 15分
  • 評価項目: 技術力、独創性、社会への影響
  • 結果: 開発駆動コース内で高評価を獲得

海外派遣プログラム

チームとして海外派遣プログラムに選出され、アメリカでの国際ハッカソンに参加:

  • 場所: アメリカ・シアトル近郊
  • 期間: 1週間
  • 成果: Eluv.io企業賞を受賞

現在への影響

キャリアへの影響

SecHack365での経験は、その後のキャリアに大きな影響を与えました:

  1. セキュリティ意識: AIカメラ開発でのプライバシー保護設計
  2. チーム開発経験: 企業での協調開発スキル
  3. プレゼンテーション能力: 技術的内容の効果的な伝達
  4. 国際的な視野: グローバルな技術動向への理解

継続的な学習

  • 最新のセキュリティ脅威の追跡
  • セキュリティカンファレンスへの参加
  • オープンソースセキュリティツールへの貢献

おわりに

SecHack365は、技術的なスキルだけでなく、問題解決能力やチームワーク、そして何より「作ることの楽しさ」を教えてくれました。

現在のAIカメラ開発においても、セキュリティ・バイ・デザインの考え方を重視し、ユーザーのプライバシーを守りながら価値のあるサービスを提供することを心がけています。

セキュリティエンジニアを目指す若い方々にも、ぜひSecHack365のような実践的なプログラムへの参加をお勧めします。


関連リンク: SecHack365公式サイト